労災保険特別付加制度
でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人には特別に任意加入を認めています。これが、特別加入制度です。
対象者は、一人親方その他の自営業の方や、中小事業主等の方となります
労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付金を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人には特別に任意加入を認めています。これが、特別加入制度です。
対象者は、一人親方その他の自営業の方や、中小事業主等の方となります
対象者:一人親方その他の自営業の場合
特別加入者の範囲
労働者を使用しないで次の①〜②の事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者およびその事業に従事する人が特別加入できます。
- 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復(注1)、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)
(注1)除染を目的として行う高圧水による工作物の洗浄や側溝にたまった積物の除去などの原状回復の事業も含む。 - 林業の事業
補償の対象となる範囲
業務災害
次に該当する場合に保険給付を受けることができます。
1. 建設業の一人親方等
ア 請負契約に直接必要な行為を行う場合
イ 請負工事現場における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
エ 請負工事に関する機械や製品を運搬する作業(手工具類程度のものを携行して通勤する場合を除く)およびこれに直接附帯する行為を行う場合
オ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合
2. 林業の一人親方等
ア 森林の中の作業地、木材の搬出のための作業路およびこれに前後する土場における作業並びにこれに直接附帯する行為を行う場合
イ 作業のための準備、後始末、機器等の保管、作業の打ち合わせなどを通常行なっている場所(自宅を除く場所、以下「集合解散場所」という)における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
ウ 集合解散場所と森林の中の作業地の間の移動およびこれに直接附帯する行為を行う場合
エ 作業に使用する大型の機械などを運搬する作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
オ 台風、火災などの突発事故により緊急用務のために作業地または集合解散場所に赴く場合
特別加入の手続き
一人親方等の特別加入については、一人親方等の団体(特別加入団体)を事業主、一人親方等を労働者とみなして労災保険の適用を行います。
また特別加入の手続きは、都道府県労働局の承認を受けた特別加入団体が行うことになっています。
特別加入の手続きや、その他、詳しい給付基礎日額・保険料、保険給付・特別支給金の種類など、お気軽にお問い合わせください。
対象者:中小事業主等
特別加入者の範囲
中小事業主等とは、以下の①②に当たる場合をいいます。
- 表1に定める数の労働者を常時使用する事業主(事業主が法人その他の団体であるときは、その代表者)
- 労働者以外で1の事業主の事業に従事する人(事業主の家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体である場合の代表者以外の役員など)
※労働者を通念雇用しない場合であっても、1年間に100日以上労働者を使用している場合には、常時労働者を使用しているものとして取り扱われます。
表1 中小事業主等と認められる企業規模
業種 | 労働者数 |
金融業 保険業 不動産業 小売業 | 50人以下 |
卸売業 サービス業 | 100人以下 |
上記以外の業種 | 300人以下 |
※1つの企業に工場や支店などがいくつかあるときは、それぞれに使用される労働者の数を合計したものになります。
補償の対象となる範囲
業務災害または通勤災害を被った場合のうち、一定要件を満たすときに労災保険から給付が行われます。
※ご注意
同一の中小事業主が2つ以上の事業の事業主となっている場合、1つの事業の中小事業主として特別加入の承認を受けていても、他の事業の業務により被災した場合は、保険給付を受けることができません。
業務災害
就業中の災害であって、次の1〜7のいづれかに該当する場合に保険給付が行われます。
- 申請書の「業務の内容」欄に記載された労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のためにする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)
- 労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
- 1または2に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
- 123の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
- 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
※船員である中小事業主等が船員法の適用のなる船舶に乗り組んでいる場合は、積極的な私的行為を除き業務遂行性が認められます。 - 通勤途上で次の場合
ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中
イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上 - 事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事について労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席する場合
通勤災害
通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。
[労災保険法上の通勤とは]
「通勤災害」とは、通勤により被った負傷、持病、障害または死亡をいいます。
この場合の「通勤」とは、就業に関し、
①住居と就業の場所との間の往復
②就業の場所から他の就業の場所への移動
③赴任先住所と帰省先住所との間の移動を、合理的な経路および方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとしています。
これからの移動の経路を逸脱・中断した場合は、その逸脱・中断の間およびその後の移動は通勤となりません。ただし、その逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって日用品の購入などをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、合理的な経路に戻った後の移動は「通勤」となります。
特別加入の手続き
<加入の一般的要件>
中小事業主等が特別加入するためには、
① 雇用する労働者について保険関係が成立していること
② 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
の2つの要件を満たし、所轄の都道府県労働局長(以下「労働局長」といいます。)の承認を受けることが必要です。
特別加入の手続きや、その他、詳しい給付基礎日額・保険料、保険給付・特別支給金の種類など、お気軽にお問い合わせください。